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建築部材には、珪藻土や漆喰、セルロースファイバーに無垢材など、様々な種類があります。ここでは京都市で注文住宅を建てるなら知っておきたい、各部材のメリットやデメリット、高性能な住宅に取り入れたい部材をまとめてご紹介しています。
珪藻土とは植物性プランクトンの化石が泥とともに海や湖に堆積して、岩石化したものです。これを原料として壁用の塗料に使用します。
メリットはなんといっても、その調湿性能。ジメジメする夏場は水分を吸収して、乾燥する冬は水分を放出し、住環境を過ごしやすい状態に促します。これにより結露の抑制にもなりますし、同時に臭いも吸収して脱臭・消臭性能も期待できます。また珪藻土には小さな気孔があり音も吸収するので、防音効果もあります。
そのほか補修が比較的簡単で、漆喰同様防火性もあります。
乾燥がひどいとひび割れが生じることは、珪藻土のデメリットと言えるでしょう。珪藻土は漆喰と違って自ら固まることはできません。そのために珪藻土に凝固剤を混ぜたり、上から固化材を塗る必要があるのですが、これが自然素材なのか化学物質なのかによりデメリットになります。どんな素材が添加されているかも確認しましょう。
また真っ白にはなりませんので、色にこだわる場合は漆喰をおすすめします。
セルロースファイバーとは新聞紙などの古紙を原料に作られる、地産地消の環境にやさしい断熱素材です。天然の木質繊維なので空気を多く内包しており、これが断熱材の役割をします。
メリットは京都の冬に必要とされるすぐれた断熱性ですが、それ以外にも吸放湿性能、耐火性能、防音・吸音性能、結露防止性能、防カビ・防虫といった効果が期待できます。ホウ酸を添加することで耐火性をアップさせると同時に、人体への毒性が低い殺虫剤としての役割も与えられます。
グラスウールなどの断熱材と比べるとコストが高くなることが代表的なデメリットでしょう。これは施工に専門的な工程が入るためです。また使用量が少ないと、時間の経過とともに下に動いてしまうことも。規定の密度が決まっていますので本来その心配は必要ないのですが、きちんとした作業をしてくれる業者に依頼することが大切です。
漆喰は石灰岩を低温焼成させ消石灰化して、水を混ぜた壁用の塗料です。日本の城や蔵の壁も漆喰で、日本の家に向いている素材です。
メリットは珪藻土と同じくある程度の調湿効果があることです。殺菌作用もあるので防カビ効果があるとも言われています。また時間をかけて固まっていく特性があるので、しっかりとした壁になり劣化が比較的少ないこともメリットです。燃えない素材のため防火性能もあるため、住宅の耐火性などが気になる人でも選びやすいでしょう。
漆喰は養生、下塗り、仕上げのような工程が複数あるので、当然コストも高くなりがちなのがデメリットです。また工程が多いので、一般的なビニールクロスよりも工期が長くなります。
そのほか下地の環境にもよりますが、塗った後しばらくは下地の灰汁が浮き上がることもあるようです。
無垢材は接着剤などを使用せずに天然の材木を建材にしたものです。木の種類により特性は異なりますが、共通するメリットやデメリットは以下のとおりです。
メリットは断熱性と調湿性にすぐれ、夏はサラッと冬はひんやり感が少なくやさしい手触りです。無垢材に含まれるヒノキチオールなどの天然精油は、リラックスできる香りと天然の防虫効果、防カビ効果などが期待できます。
時間の経過とともに飴色に変わったりと、長期に渡り自然の変化を楽しめることもメリットです。
天然の木材ですので、乾燥により反りやひび割れなどが生じます。加工段階でしっかり乾燥されていることが重要ですし、変化を想定して建設できる職人の技が求められます。
また天然の素材なので、節があったり色味にばらつきがあります。これは自然の良さと捉える場合は、デメリットにはならないでしょう。
天然リノリウムは主に床材に使用される、亜麻仁油、コルク粉、松樹脂、石灰岩などでできた素材です。
メリットは耐久性。傷が付きにくいので、家具の設置やキャスター利用も気兼ねなくできます。また滑りにくいので、キッチンや脱衣所などにも向いています。静電気が起きにくいという特性もあるので、ほこりが舞いにくいところもポイントでしょう。ある程度の抗菌作用もあります。
亜麻仁油の持つ独特の臭いがあり、施工直後はこの特有の臭いを不快に感じる方がいるかもしれません。また合成素材の床に比べてコストが高いこと、アルカリ性に弱いので中性洗剤での掃除のみとなることなどがデメリットと言えるでしょう。
ビニールクロスは、ポリ塩化ビニールを主原料とした一般的に使用される壁紙です。
メリットはやはりコストが低いことです。塗り壁や紙クロスと比較して安く仕上げることができる素材で張替えも簡単なので、リフォームやデザインを替えたい場合に適しています。また色やデザインも豊富なので、アクセントとしての利用も可能です。
化学物質が含まれていますので、シックハウス症候群の可能性やアレルギーが心配な場合は避けるべき素材です。自然素材ではないため、調湿効果もありません。
また時間の経過とともにクロスが剥がれたり、継ぎ目が浮いたり、接着剤の変色が出ることがあります。
無垢材には国産と輸入がありますが、国産材が見直されている理由を御存知でしょうか?日本の国土のおよそ4分の3は森林ですが、成長が早くコストの低い輸入材に押されて、国産材の需要は下がってしまいました。しかし、環境にも人にもやさしい高性能な家に住みたいという需要もあり、注文住宅の部材がしっかり吟味されるようになりました。
国産材は四季があり温暖湿潤な日本の気候に耐えて育ってきた木材です。それゆえに製材された後もすぐれた調湿性を持ち、寒暖や湿度の差にも耐えることができます。
輸入材は国産と比較して、安い部材が多いのが特徴。物価の違いのほか、国産の木より大きく育つ種類があることなども理由です。しかし、国産材に比べて乾燥させづらく、年輪が大きいことで割れが起こりやすいというリスクも。
じっくりと乾燥させた国産材は、長年住宅建築で使われてきたことで扱い方も知られており、割れなどのリスクを避けやすいのが特徴。また国産材を使うことで、日本の森林の循環も助けることにも繋がります。
吉野の杉に代表される奈良の木は、京都から近く地産地消であるとともに、節が少なく木目がきれいなどという、その質の高さも部材として適しています。密植で育てることにより年輪は細かく均一になり、強度が増してたわみにくい特徴があります。
また杉や檜はもともとシロアリには強い部材ですが、この年輪が密であることでより一層の耐性を期待できます。
地元の木材を使用することは、高性能な家の実現を目指せるだけでなく、地元の自然環境の保護にも貢献できます。注文住宅の部材として、ぜひ候補に入れたいですね。
参照:奈良県水循環・森林・景観環境部 奈良の木ブランド課(https://www3.pref.nara.jp/naranoki/about/)
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※2020年8月時点の調査をもとに作成しています。坪単価は、独自調査によるものです。住宅や土地、エリアによって異なりますのでご了承ください。