公開日: |更新日:
住宅の断熱とは、室内側と屋外側の熱移動をシャットアウトし外気温の影響を室内に伝わりにくくすることです。このページでは住まいを高断熱化することの重要性や、様々な断熱素材・断熱工法の違いや特徴、開口部分の断熱についてわかりやすくご説明します。
住宅の丈夫さや耐震性・デザインと同じく重要視したい断熱性は、快適な住空間を実現するために無視できない項目です。断熱が足りないと起こり得るリスクには、次のようなものがあるので、一つずつ詳しくみていきましょう。
断熱性能の低い住まいは、冬は1階が冷え夏は2階があたたまりやすくなります。せっかくエアコンなどで室内の温度を調節しても、涼しい / 暖かい空気が屋外に逃げやすくなるので、冷暖房費も高くなってしまいがち。人と環境への負荷を抑える省エネ住宅が注目されている近年では、高断熱と断熱効果を高める高気密はセットで重要であると考えられています。
断熱化されていない住宅は冬の廊下・トイレ・脱衣所の室温が低くなりやすく、暖かい部屋や浴室からの移動の際の急激な温度変化により、脳卒中や脳梗塞・心筋梗塞などを引き起こすヒートショックが発生することもあります。室温の低下による体温の低下は、免疫力の低下にもつながりアレルギーなどを発症しやすい体質になってしまう可能性も。断熱による室内温度のバリアフリー化を行うことで、このような健康リスクも軽減させることができます。
家の代表的なトラブルの1つでもある結露も、適切な断熱が施されていないことが原因で起こります。特に壁の内部にできる内部結露は外からは気づきにくく、そのまま放っておくと構造材や外壁を腐らせたり錆びさせたりして、住宅の寿命を縮めかねません。対策としては、グラスウール断熱材と防湿気密フィルムなどで壁内部をしっかり断熱・気密施工することで、屋外と室内の温度差を少なくし換気も効果的に行うことができるようになります。
グラスウールは、主原料の85%にリサイクルガラスが使用されている、環境性能の高い断熱材。床・壁・天井など住宅のほとんどの箇所に使用ができ、厚みを持たせることで優れた断熱性能を発揮する特徴があります。無機質なので火災にも強く高温多湿な環境でも劣化しづらく、木造住宅に多く採用されています。経済面でのメリットもあり、遮音性もあるので多くの施主・施工会社から支持されている素材です。
玄武岩やその他の天然岩石を高温で融解し繊維状にした人造鉱物繊維で、グラスウール同様、住宅のほとんどの部位に使用できる断熱材です。微細な繊維の隙間にたくさんの空気を含むことで、高い断熱性を発揮する性能を持っており、耐火性にも優れているというメリットがあります。水をはじく性質もあるので結露を防ぎ構造体の劣化を軽減させることができるほか、湿気を好むシロアリの発生も抑えられます。
ポリイソシアネートとポリオールを主原料にしたプラスチック発泡系の断熱材で、ボード状のものと金属やコンクリートに吹き付けるタイプがあります。熱伝導率が低く薄くてもしっかりとした断熱性能があり、コンセント部分など他の断熱材での施工が難しい細かい部分も隙間なく施工ができるのが魅力。しかしグラスウールやロックウールと比べると価格が高くなってしまうので、住宅全体の建築コストも上がってしまいます。
オセアニア地方のウールカーペット工場の端剤を主原料としたウール(羊毛)断熱と、古紙などリサイクルペーパーを使用したセルロースファイバーは、自然素材系の住宅で使われる断熱材。高い断熱効果に加え、どちらの素材も周辺環境に応じて水分を吸ったり吐いたりする吸放湿性があるので、構造内の湿度を適度にコントロールしてくれる特徴があります。それにより内部結露やカビ・ダニ・シロアリから家族と家を守ってくれます。
「充填断熱工法」は、柱などの構造材の間に、ボード / シート状の断熱材を入れたり液状の断熱材を吹き込み充填する断熱工法です。木造住宅に多く採用される工法で、外張り断熱と比べると比較的低コストで施工できる特徴があります。その他、外装材や屋根の形の自由度が高いなどのメリットもありますが、グラスウール ・ロックウールを使用した際は結露対策として気密・防湿層の施工が必須となるのが注意点。
「外張り断熱工法」は、柱などの構造材の外側に断熱材を張り、ぐるりとひと続きで建物全体を包み込む気密性の高い断熱工法です。主に使用される断熱材は、グラスウールをはじめとした繊維系の素材と発砲プラスチック系の2種類で、その高い気密性から冬でも結露が発生しにくい特徴があります。室内の温度を外に逃しにくいので、冷暖房の使用を抑える効果もありますが、同時に換気計画もしっかりと立てる必要があることを覚えておきましょう。
大きな開口部を住まいに採用することで、採光性・眺望・開放感・通風性に優れた魅力的な空間になりますが、窓の性能で断熱性は左右されてしまうので注意が必要。省エネ基準に対応した住宅であっても、開口部の熱の通りやすさは壁面の10倍近くあると言われており、窓の断熱化は住宅の断熱化とは切り離して考えられない重要なポイントです。熱の伝わりが小さいプラスチックを材料とした「樹脂サッシ」と複層ガラスを組み合わせた高断熱な窓にすることで、大幅に家全体の断熱性能をアップすることができるので、多少建築コストが上がってもグレードアップすることをオススメします。
気密性C値が0.7以下で
家の空気をきれいに保つ
断熱性UA値が0.6以下なら
冬もぽかぽか
換気熱交換換気で
室内の熱が逃がさず快適
3つの高性能を満たす京都の工務店・ハウスメーカーを調査したところ、24社中該当したのは4社のみ(※)。ぜひチェックしてみてくださいね。
ロイヤル住建 | 一条工務店 | 敷島建設 | 小林工務店 | |
---|---|---|---|---|
気密性 C値 0に近いほど快適 |
0.34 | 0.59 | 0.5~0.8 | 0.5以下 |
断熱性 UA値 0に近いほど快適 |
0.4以下 | 0.25 | 0.45~0.48 | 0.46以下 |
坪単価 | 60万円/坪 | 65万円~/坪 | 65万円~/坪 | 要問合せ |
公式HP |
C値(気密性)…家のすき間の割合を表す数値です。C値は数字が小さい方が優れており、高気密の目安は0.7以下を推奨。気密性の高い住まいは、家の熱を逃がさないだけでなく、清浄したきれいな空気を計画的に取り込むことができます。
UA値(断熱性)…住宅の断熱性能を表す指標です。数字が小さい方が優れており、京都府のZEH(ゼロエネルギー住宅)基準値は0.6以下となっています。(参照元:環境共創イニシアチブhttps://sii.or.jp/moe_zeh31/uploads/zeh31_pamphlet4.pdf)
※2020年8月時点の調査をもとに作成しています。坪単価は、独自調査によるものです。住宅や土地、エリアによって異なりますのでご了承ください。