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住宅の換気システムも忘れずにチェック

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計画換気とは、換気装置やシステムなどを用いて家中に新鮮な空気を取り入れ汚れた空気を屋外に排出することで、健康的な生活を送るための必須設備です。建築基準法の改正により、2003年7月以降着工の新築住宅には24時間計画換気システム / 設備の設置が義務付けられており(※)、違反をした場合には罰金も科せられる法律となっています。このページでは、「なぜ計画換気は必要なのか」や「換気性能の種類と特徴」などについて詳しく解説します。

※参照元:【LIFULL HOME'S】住まいのお役立ち情報/https://www.homes.co.jp/cont/buy_kodate/buy_kodate_00464/#:~:text=24時間換気システムとは、一日中新鮮な空気,義務化されました。

計画換気の重要性

計画換気義務付けの背景

従来住宅の換気は、建物自体にある隙間や各所に設けられた換気口からの自然換気に頼ってきました。しかし住宅の快適性・省エネ性の両立のために建設され始めた高気密住宅の普及に伴って、換気の不十分による問題が浮上してきたのです。

「シックハウス症候群」として今では広く認知されている問題がそれです。建材に使われている防虫剤等の薬剤から出る有害物質が高い気密性により室内に高濃度で留まることで、皮膚疾患・頭痛・吐き気・ぜんそくなどの健康被害をもたらします。そこで政府は特定の化学物質の使用禁止 / 制約とともに、過不足のない換気量を得られるような設備の設置を義務付けたのです。

必要換気量とは?

24時間換気をするにあたって、自宅で必要な換気量を確認することも大切です。換気量の一般的な目安は「1時間あたり室内容量の半分」、または「1時間あたり家族の人数×30㎥」のどちらか多い方となっています(※)。この数値は実証データをもとに、実内の有害物質濃度が無害なレベルまで薄まるための換気量を測定して基準値として設定したもので、狭い空間に多くの人が密集している場合はより多くの換気量が必要となるので要注意。

人の呼吸による二酸化炭素量だけでなく、室内の使い方によって標準以上の換気が必要となってくるケースがあるのも覚えておきましょう。例えば「室内でタバコを吸う」「石油ストーブやファンヒーターの使用する」といった場合は必要換気量が大きく増えるので、より効率的に換気ができる設備やシステムが必要となってきます。

※参照元:SUUMO(スーモ)住宅用語大辞典/https://suumo.jp/yougo/s/hituyoukankiryou/#:~:text=住宅の必要換気量とは、リビングやダイニング,値が目安となる。

計画換気の難しさ

24時間換気システムを設置さえすれば完璧な換気が行えるのかというと、必ずしもそうではありません。計画換気本来の目的を十分に果たすためには、住宅が隙間の少ない高気密な造りであることが大事になってきます。

隙間だらけの家の場合、換気扇を設置した周辺の空気のみが排出されてしまい、汚れた空気や湿気は室内に残ってしまいます。気密性を高め、外からのフレッシュな空気が入る給気口と汚染された空気が出る排気口を明確にし、空気の通り道を作ってやることで、はじめて効果的な計画換気が実現するのです。

また外からの空気が汚染物質を含まないキレイなものとは限らないのも、気をつけるべき点。花粉・粉塵・PM2.5などの有害物質をキャッチするためのフィルターが必須ですが、定期的にメンテナンスすることで十分な性能を発揮できます。アレルギーを持っている方や乳幼児がいる家庭では、定期的にチェックすることを心がけましょう。

換気性能の種類

給気・排気ともに機械で行う第1種換気方式

機械換気システムの中で、確実に給気・換気が可能となるシステムで、戸建て・集合住宅のどちらにも適しています。外気を取り込む際は熱交換器機を通すことで室温を保ちながら換気をすることができるので、冷暖房のロスがないのが特徴。

アレルギー症状を持っている方や体が弱く空気調整が必要な方、また防音のため気密性を高める必要がある場合などに特にオススメですが、初期費用が高くなってしまう点や、熱交換率をキープするためにまめなメンテナンスが必要となってしまう点を覚えておきましょう。

給気は機械・排気は自然に行う第2種換気方式

屋外から空気を取り込む際は機械で強制的に行い、汚れた空気は開口部から自然に出すタイプの換気システム。病院やクリーンルームなどで採用されることの多いこちらのシステムは、消費電力量が少ないというメリットがありますがダクトの設置が必要なので初期費用は高めです。

強制的な給気に対して排気能力が弱いので、空調の効率が悪くなってしまうことや、建物の気密性能によっては室内の湿気が壁内に侵入してしまい内部結露の原因となってしまうこともあるので、住宅にはあまり向いていないでしょう。

給気は自然・排気は機械で行う第3種換気方式

汚れた空気の排出は機械で強制的に行い、外からの空気は開口部から自然に行うタイプの換気設備。設置費用・ランニングコスト / メンテナンスコストの安さから普及が進んでいる居住用換気システムです。

「局所排気型=パイプファン式」は、ダクトレスタイプの各部屋に排気口や換気扇を設置する手法で、設置コストが安いのが魅力。しかし外が強風の日は外気が逆流してくる可能性もあり、気密レベルが高くなると換気量が落ちてしまうので注意が必要。

「セントラル型=ダクト式」は、排気口や換気扇をトイレやバスルームに設置し、各部屋に給気口を設置するタイプで、ドアを閉めてもドア下の隙間から換気ができるので室内の快適な温度を保ちやすいメリットがあります。ダクトの工事が必要となるので初期費用は若干上がりますが、ランニングコストは直流タイプを選ぶと安くすみます。

この第3種換気は気密がきちんと取れていないと、外気が入ったり出たりと空気の正しい流れが作れず換気機能が落ちてしまうので、施工精度の高い業者に依頼することが大切。また給気口と換気扇の位置バランスが崩れていると、換気ムラも起きやすくなるので、そこも注意しましょう。

京都で性能住宅が建てられる
工務店・ハウスメーカー4社
重要な3つの性能

気密性C値が0.7以下
家の空気をきれいに保つ

断熱性UA値が0.6以下なら
冬もぽかぽか

換気熱交換換気
室内の熱が逃がさず快適

3つの高性能を満たす京都の工務店・ハウスメーカーを調査したところ、24社中該当したのは4社のみ(※)。ぜひチェックしてみてくださいね。

ロイヤル住建 一条工務店 敷島建設 小林工務店
気密性 C
0に近いほど快適
0.34 0.59 0.5~0.8 0.5以下
断熱性 UA
0に近いほど快適
0.4以下 0.25 0.45~0.48 0.46以下
坪単価 60万円/坪 65万円~/坪 65万円~/坪 要問合せ
公式HP

C値(気密性)…家のすき間の割合を表す数値です。C値は数字が小さい方が優れており、高気密の目安は0.7以下を推奨。気密性の高い住まいは、家の熱を逃がさないだけでなく、清浄したきれいな空気を計画的に取り込むことができます。
UA値(断熱性)…住宅の断熱性能を表す指標です。数字が小さい方が優れており、京都府のZEH(ゼロエネルギー住宅)基準値は0.6以下となっています。(参照元:環境共創イニシアチブhttps://sii.or.jp/moe_zeh31/uploads/zeh31_pamphlet4.pdf)
※2020年8月時点の調査をもとに作成しています。坪単価は、独自調査によるものです。住宅や土地、エリアによって異なりますのでご了承ください。